なるに屋ブログ
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松居直さん

松居直さんの名前を聞いたことがありますか?

松居さんは、福音館書店の月刊絵本「こどものとも」の生みの親で

『ぐりとぐら』や『おおきなかぶ』『ぐるんぱのようちえん』などを世に送り出したすぐれた編集者です。

絵本のことを何も知らずに仕事に就いた社会人1年生の頃に松居さんの話を長野市で聞く機会がありました。

紹介してもらった『はなをくんくん』『しずかなおはなし』『あおくんときいろちゃん』『長い冬』(岩波少年文庫)等々夢中で読みました。

絵本ってすごくおもしろい、楽しい、もっと知りたい!!等絵本について私に種を蒔いてくれました。

そして私に絵本の芽を出させてくれたとても大きな存在が松居さんでした。

お陰でずいぶん長い間、こどもの本に関わる仕事に携わってくることができました。

独身の頃に読んだ松居さんの著書『わたしの絵本論』(国土社)で「ことばは母からもらった」という部分が印象に残っています。

赤ちゃんはこうやってことばを自分のものにしていくんだということがとてもよくわかり、自分も将来このようにして言葉を伝えていってみたいと思わせてくれました。

松居さんには、なるに屋の移転新築後の特別講座「現在、絵本にできること」を始め、信州こども文化セミナー、早春絵本講座などで何度も講演をしてもらいました。

その都度、幅広い絵本を紹介してもらい、こどもにとっての絵本の大切さを改めて伝えてくれました。

 

『私のことば体験』松居直著 福音館書店 が発売されました。

さし絵はカラーで安野光雅さん、「母の友」に連載されていたもの22編をまとめた松居さんの自伝となっています。

巻末には、娘である小風さちさんのエッセイが載っているとても読みやすい1冊です。

こどもに絵本を読むのは、ご飯を食べるのと同じ生活習慣の1つというところにとても共感しています。

今、こどもに絵本を読むことが当たり前ではなくなり、メディアに頼ったり、軽いものを好む傾向が見受けられます。

『私のことば体験』を読んで、こどもと本に関わっている大人が、もっとまわりの人々に絵本を読むこと、

ことばを大事にしていくことの大切さを伝えていかなければと改めて思います。

図書館員、保育所や幼稚園、学校の先生、そして絵本の大好きな人に是非手に取って読んでほしいおすすめ1冊です。      (A)

福音館書店『私のことば体験』松居直 著 安野光雅 挿画 2200円